加賀友禅・牛首紬・印傳
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女将の着物事情

こんにちわ。新米女将の八千代です。
私の母、父方母方の祖母も、お茶を習っていたので、着物もそれなりに持っていました。
母は私と着物寸法はあまり変わらずそのまま着られるものもあります。
祖母達の着物の中にも譲り受けて洗い張りをして仕立て直せたものもあり、
私の箪笥は常にぎゅぎゅう詰めの状態です。
個人的には必要な着物を厳選してヘビーローテーションで着るミニマリストのようなスタイルにも憧れますが、仕事柄そうもいきません。

着物寸法

私の着物の寸法は、身長があまり違わない母から譲られた着物と、
現代版の標準寸法を参考に、お茶で着ることを考慮して決めました。


身丈(肩から)4尺3寸5分、
1尺7寸7分、肩幅8寸7分、袖幅9寸、
前幅6寸7分 後幅8寸、衽幅4寸。
お茶をしているので前幅は広め(6寸7分)にしましたが、他はあまり変わった寸法にはしていません。

もう少し考えようがあるのかも知れませんが、着にくいと感じたこともないので良しとしています。
袖丈慶事の絵羽物は1尺4寸に、他は永く着られるのと動き易いように、1尺3寸にまとめました。

紋入れ


当店の紋入れは、金沢の紋章上絵師さんに手描き紋を入れてもらっています。


うちの家紋は「丸に笹竜胆(ささりんどう)」で、母と私は丸なしの笹竜胆を入れています。(家紋を囲んだ丸の線を取り除いたもの。当家の女紋)
母は母の実家の「抱き茗荷(丸ナシ) 」の着物と、竹内家の「笹竜胆(丸ナシ)」が入った2種類の着物を持っています。
祖母が生きていた時、「女は2つ紋を担ぐ」とか「紋はスポンサーの紋」とか言っていたのを覚えています。

パールトーントーン加工


仕事やお茶でよく着るので大抵の着物、長襦袢にはパールトーンをしていますが、パールトーンをせずに着ているものもあります。
母から譲られた泥の大島紬などはその柔らかさ、着心地の良さに惹かれ、パールトーンをせずに着ていてその後洗い張りをして仕立て直しもしました。

新しく仕立てる紬などは、パールトーンをするかしないかで迷うこともありますが、先染めの着物(紬等)はシミ抜きにも限度があるので、薄い地色のものは迷わずパールトーンしています。

パールトーンには賛否両方の方がいらっしゃるのは判っています。
・風合いが変わると言われる方もいらっしゃいますが、昔の防水加工ではいろいろあったようですが、パールトーンではあまり感じていません。
・シミ抜き、洗い張りの時、パールトーンをしてあると作業の邪魔になるとも聞きますが、経験回数は少ないもののパールトーン社に出せばなんとかなってきました。
・染め替えが上手くいかないとのご意見もありますが、そもそも私は色無地をはじめ染め替えをする気はないので、何とも言えません。
・パールトーン直後には、加工してない物よりシワになりやすいともおっしゃる方がいらっしゃいます。単衣などではそうかなと思った経験もありますが、私はけっこうヘビロテで着るのでそのうち感じなくなっています。

ほかにもいろいろあるかも知れませんが、家事やお茶などで水仕事も多く、柔らかものは縮緬地が多い私は気を付けるようにしていますが、撥水力、アフターケアシステムには大感謝です。

日常のメンテナンス


着用後の着物は、着物用ハンガーに掛けて一晩吊るして、湿気を取り除きます。ブラシや乾いたタオルなどで着物に付いた埃を払います。
同時に、汚れや汗、シミ等をチェックします。
汚れやシミを見つけたら、「シミ抜き」に出します。
ひどく汗をかいた長襦袢や着物は「汗抜き」や「汗抜き丸洗い」に出します。
着物を点検する際にカビが生えたり、湿った文庫紙は新しい物と取り替えましょう。

パールトーンをしてある着物や襦袢は、シーズン終わりに無料の「アフターケア」に出しますが、全体に汚れてきたものは、パールトーン社の「丸洗い」(有料)に、特にひどく汗をかいた長襦袢はすぐに「超汗取りクリーニング」(有料)に出しています。
母は、丸洗いやパールトーンはあまりしていませんでしたが、大切に着て、点検をし、大抵のトラブルは「シミ抜き」で解決していたそうです。

あまり着る機会のない着物や、長襦袢、帯はシミ抜きやパールトーンのアフターケアや丸洗いで一応きれいにしてからきものキーパーに入れています。
他の殆どの着物でパールトーン加工してあるものは、特に汗や汚れの心配がない限り、桐の箪笥に「そうび」と一緒にしまっています。
パールトーン加工をしていないものは、シーズン終わりに必要に応じてシミ抜きや汗抜き、丸洗いに出したあと桐の箪笥に「そうび」と一緒にしまっています。

箪笥の着物や帯は「そうび」の入れ替え時に点検するようにして、何年も触らずしまいっぱなしにならないようにしています。